所長のコラム

はじめに

気がつけば3月も終わり、入学式前というのに桜が一気に開花しました。新年度がいよいよ始まりますね。この季節は新たな出会いと別れがあります。そんな折、一冊の本に出合いました。2013年本屋大賞にノミネートされた『世界から猫が消えたなら』です。

所長写真

4月コラム 得ること、失うこと

物陰からそっと顔を出している可愛らしい子猫の表紙が印象的な『世界から猫が消えたなら』という本をある人から薦められて読んでみました。この本を手掛けたのは『電車男』、『告白』、『悪人』、『モテキ』など数々のヒット映画を生みだした映画プロデュ―サーの川村元気さん。1979年生まれの33歳。処女作だそうです。
物語は非常に軽いタッチな文章ではじまり、とても読みやすいのですが、ストーリーを通じて投げかけられる問いかけにどんどん引き込まれていきます。

猫と暮らす僕はある日突然、余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をしたアロハシャツに身を包んだ陽気な悪魔と出会う。その悪魔は「この世界から何かを一つ消すごとに、あなたの命を一日延ばしてあげましょう」と奇妙な取引をもちかてくる。電話、映画、時計といったモノなどが僕の命と引き換えに世界から消えていく。何かを得るために、何かを失っていく。失ってみて、はじめて感じるそのモノの意味と価値。そして、何かが失われていく世界の中で、僕は大切な人やかけがえのないものに気付いていく…

毎日、何気なく生きている私たちにとって、この小説は、大事な気付きを与えてくれます。本当に今の時代は生活が便利になってきましたが、考えてみれば失ったものもたくさんあります。携帯電話ができたことでプライベートな時間が失われた。メールができたことで相手のことを想い手紙をしたたる心を失った。インターネットができたことで本を読みじっくり考える思考能力を失った。経済的な豊かさを得たことで、人情味あふれる人とのつながりを失った。例をあげれば、枚挙にいとまがありません。ここで述べたことはもちろん極論ですが、皆さんも、そういえばそうだな、と感じる部分があるのではないでしょうか。
人はいつか必ず死を迎えます。しかし、理屈ではわかっていても、実感している人はほとんどいません。自分は何のために生まれてきたのか、そして、死を迎えるまで何のために生きていくのか、自分の人生の中で本当に大切なものは何か。毎日忙しいことを言い訳にして、真剣に考えてきませんでした。是非、一度、この本を読み、じっくり考えてみてはどうでしょうか。



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鈴木伸治公認会計士・税理士事務所/税理士 岡崎/岡崎市 税理士


岡崎市 会計士 鈴木伸治公認会計士・税理士事務所