所長のコラム

はじめに

師走になりました。中小企業のおかれた状況は極めて厳しいです。今年も残すところ1ヶ月となりましたが、今やるべきことをしっかりやり、最後まであきらめずに頑張りましょう。

所長写真

12月コラム 中小企業の挑戦

11月初旬に経営者の会の先輩がタイに現地法人を立ち上げたということで会社視察を兼ねた旅行をしてきました。ちょうどトヨタ自動車がタイに本格進出してから50周年の記念イベントがあった頃です。タイと日本との関わりは長く、江戸時代前期に山田長政が当時シャムといわれたタイのアユタヤ王朝で日本人町を建設し、活躍した話は有名ですよね。もちろん映画「戦場に架ける橋」の舞台にもなり、悲惨な第二次世界大戦を経ての今があるわけですが。

話は戻りますが、先輩の会社視察をさせて頂き、なぜ、今、タイに現地法人を立ち上げたのか、質問しました。日本法人の取り扱い品が工業副資材でもともと輸出が多かったので、日本で製造しなければならないという制約はなかった。タイはFTA自由貿易協定に加盟しているため、輸出先の関税がかからず価格交渉が有利になる。また、人件費などコストの安さもあるが、親日的で勤勉な国民性が重要。東日本大震災がきっかけとなり、災害リスク回避の意味で海外も視野に入れた。ところが、タイの大洪水で大変だったそうです。本当に天変地異だけは何ともならないんですね。

この会社は現地の日本人は社長1人のみ、日本語を話す幹部社員2名、タイ語しか話せない現場社員16名の本当に小さな会社です。大手企業から踏み絵のごとく圧力をかけられ、口座維持のために海外進出をした下請け企業がたくさんありますが、大半は失敗し撤退を余儀なくされています。やはり中小企業といえども、自ら考え、決断したうえでの、海外進出でなければなりません。親会社頼みの寄らば大樹の陰的な時代はもうとっくに終わっています。

最後に稲森和夫さんの言葉をご紹介します。結構、耳が痛い話ですよ。

「挑戦、チャレンジというのは、快い響きを持った言葉ですが、実は大変な困難と危険を伴います。また、計り知れない労苦と忍耐力、並はずれた努力と、大変な勇気を必要とします。つまり、リスクに耐えうるだけの裏付け、困難に立ち向かう勇気、苦労もいとわない忍耐努力などの要素を備えてはじめて口にできることなのです。単に言葉の遊びとして、チャレンジや挑戦ということを口にしてはならないと思います。このような要素なくしてチャレンジすることを、蛮勇と言います。」



≪ 2012年のコラム一覧へ ≫

鈴木伸治公認会計士・税理士事務所/税理士 岡崎/岡崎市 税理士


岡崎市 会計士 鈴木伸治公認会計士・税理士事務所