所長のコラム

はじめに

今から2年程前、平成22年7月コラム「年輪経営」で取り上げました伊那食品工業株式会社に先日、ようやく行ってきました。「かんてんぱぱ」の愛称で有名なガーデンに入ってみると、日陰ではひんやりしてとても気持ち良かったです。やはり長野県、遠くまで来たものです。

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6月コラム いい会社とは何か

みなさん、寒天と聞いて、どんなイメージを受けますか?昔は食べたことがあるけど、最近はあまりない。一時期、健康志向の寒天ブームはありましたが、消費者の目にあまり触れることはありません。食品業界においては斜陽産業です。にもかかわらず伊那食品工業株式会社は48年間増収増益という前代未聞の離れ業を成し遂げたのです。しかもリストラなしで。V字回復を自慢げに語る経営者はいますが、彼らは人間をモノのように切り捨てています。

伊那食品工業の社是には、「いい会社をつくりましょう−たくましく そして やさしく−」とあります。「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社を取り巻くすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくださるような会社のことだそうです。その中でもまず、なによりそこで働く者にとって「いい会社」になることを強調しています。そして、その社是のとおり、同社は、給与面、福利厚生の充実に限らず、働きやすい環境を整備することに注力しています。実際に会社へ行ってみると、綺麗に掃除されており、その美しさには目を見張るものがあります。ノルマなしの営業も有名ですが、それは単に楽をすることではなく、目の前のお客様に対して損得抜きで徹底したサービスを行うことを意味しています。また、塚越会長はじめ経営陣からの情報提供も社員さんとの一体感を高めています。単なる業務連絡ではなく、ものの考え方を直接伝えることで、社員の士気が高まるのでしょう。

私は、会社のいたるところに貼ってある「100年カレンダー」に目がとまりました。21世紀、つまり、2001年から2100年までが1枚のカレンダーとして印刷されているのです。これは塚越会長の座右の銘である二宮尊徳翁の次の言葉を物語っています。

“遠くをはかるものは富 近くをはかるものは貧す それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う”

また、塚越会長はこの100年カレンダーを前に若い社員に対してこう言います。「君たちはいくら若いといっても、私と同じように、必ずこの中には命日があるんだよ」と。

皆さん、人生の終わりを数字で見せられると、一日一日を大切に生きようと実感しませんか。



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鈴木伸治公認会計士・税理士事務所/税理士 岡崎/岡崎市 税理士


岡崎市 会計士 鈴木伸治公認会計士・税理士事務所