所長のコラム

はじめに

花見のシーズンを終え、早くもゴールデンウィークへ突入です。温かいというよりは真夏並みの暑さを感じる今日この頃です。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。日本経済を支えてきた中小企業の「ものづくり」は、いよいよ大きな転換を迫られている感があります。

所長写真

5月コラム 中小零細製造業のゆくえ

私たちの住む愛知県は昔から製造業の町と言われ続けていますが、今も変わらず製造業中心の産業構造です。平成22年の製造品出荷額は38兆円、全国合計が289兆円ですからシェア13.1%でダントツ1位です。しかも、その半分以上を自動車産業に依存しているのはご存知のところです。

ここ最近の超円高が続くなかで、大手企業は軒並み生産拠点を海外、特に東南アジアへシフトしはじめ、中小零細の製造業は大幅に受注を落としています。ただでさえ厳しいコストダウン要求をされる中で何とかやりくりしてきたのに、受注が半分以下になれば、固定費を回収しきれず、さすがに耐えられない状況にあります。

ここで大きな決断を迫られています。大手企業の要請により海外へ出て行くのか、それとも国内に残るのか。いずれにしろ厳しい決断です。海外進出するにしても言葉、海外ネットワーク、現地のインフラ・法律など問題は山積しています。とても中小零細企業単独で海外進出するのはハードルが高いでしょう。最近では中小零細企業が組合をつくり、海外へ進出しているという話を聞きます。しかし、ただ安い人件費を求めて従来型の日本的経営をしていたのでは海外進出をしても成功するのは難しいかもしれません。

先日、元サムスン電子・常務の吉川良三氏の講演を聴きに行きました。吉川氏いわく、「ものづくり」は、「もの = 設計思想」と「つくり = 職人仕事」を分けて考え、付加価値の高い「もの」に力点をおいて消費者のニーズを掘り起こすことに特化すべきである、と。日本メーカーは必要以上の高機能を付加価値と思いこみ製品を供給するが、結果として海外の消費者には受け入れられない。確かに韓国企業の代表ともいえるサムスン、LGは世界を席巻していますが、韓国の国民生活は豊かになっているのでしょうか。要は、一昔前のように自国の製造業が必ずしも雇用の受け皿にはなっておらず、「つくり」の部分を請け負っていた企業はその役割を低賃金の海外企業に奪われています。今までの系列配下で無理に海外進出するよりは、自社の技術に磨きをかけ、海外メーカーへ売り込みに行く時代なのかもしれません。



≪ 2012年のコラム一覧へ ≫

鈴木伸治公認会計士・税理士事務所/税理士 岡崎/岡崎市 税理士


岡崎市 会計士 鈴木伸治公認会計士・税理士事務所