所長のコラム

2月コラム 練習はウソをつかない

落合博満氏は現役時代に3冠王を3度も取った名実ともに素晴らしい名選手でした。外角球を見事にライトスタンドへホームランにする技術は天下一品。そんな落合氏が中日ドラゴンズの監督に就任したのは2003年10月のこと。そのときの基本方針を私は明確に覚えています。それは「ドラゴンズの目標はセ・リーグを制して日本一になることであり、そのために目立った戦力補強はせず、個々の選手が10%実力アップすること」です。巨人、阪神などの人気球団はその資金力で大幅な戦力補強をする一方、全く異なる方針を打ち出したのです。

そして、落合氏が監督を務めた8年間はプロ野球12球団の中で最も長く厳しい基本練習を行ってきました。その取り組みは、(1)キャンプ初日からの紅白戦、(2)全選手横一線の扱い、(3)6勤1休、どれも他球団では考えられない厳しいものです。そして、その練習に前向きに取り組む選手には、ベテラン若手を問わず、落合前監督は期待をかけ引き揚げました。それを見て若手が、自分もチャンスをつかむために時間が経つのを忘れて遅くまで基本練習にあけくれたそうです。これが常勝チームの秘訣だったんですね。8年間でリーグ優勝4回、日本一1回、2位が3回、3位がたったの1回だけ。すべてAクラスという離れ業。1点を守りきるために、汗と涙と泥にまみれた絶対的な練習量に支えられた「負けない野球」でした。野球スタイルの好き嫌いは別として、勝つために最善の策を講じる、その姿勢には本当に感服いたします。

私たちも仕事に慣れてくると、少し手を抜くことを覚えてきます。要領のいい人は仕事ができる、それをよしとする風潮が世の中には蔓延しているような気がします。楽して儲ける商売もまたしかり。でも、落合前監督が率いた中日ドラゴンズのように、ひた向きに基本練習に打ち込む、ビジネスで言うならば、目の前の仕事に全力投球することが今、必要とされているのではないかと思います。勝負の世界でもビジネスの世界でも、運やタイミングにより脚光をあびて活躍できるのはわずかな人だけです。それでも前向きにもがき苦しむ経験を積めば、すぐに結果には結びつかなくても、必ず自分の生きる力になっていくと信じて日々精進していきたいものです。



≪ 2012年のコラム一覧へ ≫

鈴木伸治公認会計士・税理士事務所/税理士 岡崎/岡崎市 税理士


岡崎市 会計士 鈴木伸治公認会計士・税理士事務所