所長のコラム

10月コラム 仕事にかける情熱

東日本大震災、超円高、株安の影響を受け景気は悪化する一方です。大企業が思うように利益をあげられない昨今では下請けに対する過度なコスト削減が日常茶飯事に行われています。このような先行き不透明な状況に耐えきれず、中小零細企業は、倒産もしくは廃業の憂き目にあっているのも事実です。

何だか暗い話ばかりですが、日本経済を支えてきた中小零細企業はこんなことではへこたれないぞ、今に見ていろ、と言わんばかりに熱いエールを送った小説があります。それが直木賞受賞作に選ばれた池井戸潤さんの『下町ロケット』です。中小企業がひしめく東京大田区にある小型エンジンバルブシステムを製造する佃製作所の社長や社員さんたちが主役の物語です。佃製作所は、大口取引先からの取引停止、ライバル企業からの特許侵害訴訟、資金繰りの逼迫、社内の内紛にさらされながらも、自社の水素エンジン向けバルブシステムの特許を取り、大企業に対してロケットエンジンの部品供給をするという離れ業を成し遂げます。

青臭い、きれいごとに聞こえるかもしれませんが、私は、佃社長がロケットエンジン部品納入に反対する若手社員に対して発した次の言葉に感銘しました。

「俺はな、仕事っていうのは、二階建ての家みたいなもんだと思う。一階部分は、飯を食うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃ窮屈だ。だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。それが二階部分だ。夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、飯だけ食えても夢がなきゃつまらない。お前だって、ウチの会社でこうしてやろうとか、そんな夢、あったはずだ。それはどこへ行っちまったんだ。」

みなさん、どうでしょう?仕事に対する熱い思い、忘れていませんか?福利厚生、ワークライフバランス、休日の余暇、確かに大事です。でも、社会人として仕事をして生きている我々にとって、その仕事でイキイキしていなければ、余暇を楽しんでいても心にすっぽり穴があいて虚しく感じるのは私だけでしょうか。いろんな立場、考え方がありますから、一概には言えません。でも、この本からは、そんな熱い思いを強く感じました。



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鈴木伸治公認会計士・税理士事務所/税理士 岡崎/岡崎市 税理士


岡崎市 会計士 鈴木伸治公認会計士・税理士事務所